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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
65. やがて結婚したくなる
66. 愛ある結婚
67. 結婚しない男性
68. 結婚できない女性
69. 生涯未婚
70. 離婚に学ぶ結婚
71. 熟年離婚リスク
72. 争族は親の無責任
73. 相続では間に合わないこと
74. 楽して儲かる仕事
75. 適当でいいじゃないか
76. 仕事ができる人は幸運を招く
平成24年
71 熟年離婚リスク
熟年離婚の原因
熟年離婚とは会社を退職したような熟年者の離婚ではないという。結婚20年を迎えた夫婦が離婚することをいう。だから熟年になって結婚した夫婦が離婚しても熟年離婚とはいわない。
熟年ともなれば、年齢は50歳を過ぎているだろう。傍から見ればいい歳の男女がどうして今さら事を荒立てるような離婚を決断するのだろうと疑問を感じるかもしれない。子育てもひと段落する頃なので、夫婦2人きりで人生の後半を楽しめる時期ではないかと思われる。
しかし熟年離婚は毎年増加傾向が続いている。過去10年の間に熟年離婚は2倍に増えた。そして女性から離婚を切り出すことが圧倒的に多い。
一般に離婚の原因の最も多いのが「性格の不一致」である。国民生活白書によれば男女共にトップの原因で男性では60%超女性では40%超に挙げられる。「異性関係」という理由は年々減少している。
「性格の不一致」は交際期間の相手の印象と結婚後の印象に大きなギャップを感じる場合なので、比較的若年世代にはあてはまるが、熟年離婚には異なる原因が考えられる。
男性側の原因としては暴力、ギャンブル、借金、横暴な態度などが挙げられ、女性側の原因としては姑との確執、
浪費、家事放棄、同居に応じないなどが挙げられる。夫婦であれば離婚の原因は双方にある。個別の問題もあるだ
ろうが社会的背景が存在すると思われる。
これまで男は外で仕事をし、女は家で主婦を行なうという役割分担が果たされてきた。互いの職域に踏み込むこと
は禁じられ、互いの職域で努力する姿を認め合ってきた。
ところが女性の高学歴化に伴い就労機会は増え、結婚後も正社員を続ける者も増えてきた。それに伴い収入も増えた。これは男性側の年功賃金が減少分を穴埋めする形になったと思われる。男女の役割分担が画一的でなくなったことになる。
また2007年より年金分割制度が導入され、これまで妻には老齢基礎年金しかなかったのが、夫の老齢厚生年金部分が婚姻期間に応じて1/2まで取得できるようになった。妻にとって離婚による将来の経済的不安がかなり薄らいだということがいえる。仮に正社員でなくても独りで生活していくくらいならば、年金と就労で何とかなるだろうと考えられるようになった。
男の甘え
男同士の飲み会の場でよく出る話であるが、家事をどの程度やっているかである。日常的にはゴミ出しと風呂掃除というところであろうか。料理をする者もいるが、料理をしたことがある程度で決して日常的ではない。他には子供の塾や習い事の送り迎えと休日に久しぶりに出かける際の運転手である。
週末に限らず仕事帰りに飲みに出かける理由は、職場の同僚とノミニュケーションもしくは職場では伝えられない後輩指導であるという。また取引先と飲みに行くときには情報交換、顧客の囲い込み、接待などと理由がつく。
さらに休日のゴルフの理由となれば、健康診断で医師から血糖値、コレステロール値が高いと指摘され、ウォーキングをかねて日頃のストレス発散のために出かけているという。
本当は家でゆっくり休みたいが付き合いだからしょうがない。これも仕事、金を稼いで家族を養うため、住宅ローンを返済するために身を粉にして休日返上で頑張っている。全て他人に責任転嫁、自分の欲求とは一切言葉に表れない。
会社から単身赴任が命じられれば、単なる言い訳が立派な理由になる。赴任先にもよるが、たまに帰省し時々近況報告すれば役割を果たしたと考える。
子育て、家事、近所との付き合い、学校行事、家計管理など一切を妻に任せきりである。妻がいるから仕事が出来る、妻がいなくなったら仕事どころか人生も成り立たなくなるかもしれない。
永年このような生活に慣れてしまうと退職後も同様に思ってしまう。これまでずっと嫌な仕事に耐えてきたのだからのんびりしたい。料金の安い平日にゴルフをして、たまには妻と温泉に行ってみたい。
妻が居なくなったらなどと微塵も考えていない。これまで家事や育児などを放棄してきたので、独りで生きることは難しい。特に食事は日に3度行なわなければならない作業である。経済的には支えてきたかもしれないがそれだけである。男性にとって離婚は最大のリスクであるが、リスクを認識していないことが多い。
女の周到な準備
女性にとって離婚後心配するのはお金のことである。日常生活費や今後のイベントにどのくらいのお金がかかるか不安である。そんな不安を少しでも解消するために離婚後のキャッシュフロー表を作成する者もいる。
現在女性が中高年に達してもいくらでも働いている。それはお金のためでもあり社会とつながっていたいことから仕事を続ける者もいる。男性と異なり一貫したキャリアは形成しづらいが、職を選ばなければ働き口は多いと思われる。
事前に離婚を検討することを友人に相談する男性は少ない。しかし女性の場合友人、知人、専門家に気軽に相談している。相談する中で知識と智恵を得ていくのである。
年金の分割、財産分与がどのくらいあるか事前に把握しているのである。さらに相手に過失があるならばその証拠資料の準備と慰謝料の金額まで計算している。
夫との直接の離婚打ち合わせを拒むにはお金はかかるが、弁護士を代理に立てる場合がある。そうなれば夫として取りつく島はない。完敗である。妻によって敷かれたレールの上を仕方なく進むしかないのである。
男性の場合離婚を考えると過去の感傷に浸り何とか現状を維持しようと抵抗するかもしれないが、女性の場合前を向いて離婚を実現するためにどうするか着実に一歩一歩を進めるという。男の弱さと女の強さがこんなところにも現れるのだろう。
熟年離婚リスクに備える
男性にとって熟年離婚は考えたくもない、考えたこともない、全くの想定外の出来事であろう。離婚して最も困ることが日常生活である。掃除、洗濯、買い物、食事等である。
特に食事を外食で賄おうとすれば健康に悪影響を及ぼす。さらに飲酒、喫煙を妨げる者がいなくなるのでますます健康維持が難しくなる。病気になれば一人の生活は更に困難になる。妻に三行半を告げられたショックや傷ついたプライドから内にこもりがちになる。
退職すればかつての同僚や後輩はもういない。話す相手は家族くらいに限られている。その家族に愛想をつかされたとなれば、話し相手は誰もいなくなる。精神的にも肉体的にもダメージが蓄積してくる。離婚した女性は平均寿命まで生存するが、男性は平均寿命をはるかに下回るデータがある。
女性の場合経済的不安は多少あっても、これまでの忍従と苦痛の日々から開放されるので、明るく前向きな生活が送れる。男性とは対照的である。すでに仕事や地域などから親しくなった仲間がいて気遣ってくれる。
これからの時代ではいつ妻から離婚を切り出されるか分からない。
切り出されたら受け入れるしかない。そんな離婚リスクに備えるには、まず掃除、洗濯、買い物、食事等が独りでも出来るようにすることである。特に食事は健康と味覚と経済を追及すると奥深いものがある。男の料理本や料理教室などがあるので覗いてみてはいかがだろうか。
家計は妻に任せているという男性は多い。生活していくにはお金が必要である。会社では利益を上げるために経費を削減しているのに家庭では無関心の場合が多い。細かく1円単位まで把握する必要はないが、年間収入と支出、貯蓄残高がどのくらいかは知っておきたい。そのうち半分を妻に持っていかれても生活できるだろうか。
そして趣味やボランティアなどを通じた仲間作りである。新たな仲間にはこれまでの肩書きは通用しない。肩書き抜きの仲間作りが求められる。当然社交的でなければならない。仲間の中に女性がいればなお良い。話し方や接し方が男性との付き合いとは異なってくる。
離婚されるかもしれないと準備したことは離婚後にも役立つが、おそらく離婚防止にも役立つだろう。他人と上手く接することができる者は妻とはもっと容易に関係を築くことができると思われる。離婚という人生後半における事故はなかなか取り返しがつかない。
長野日報土曜コラム平成24年7月28日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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