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67 結婚しない男性

一人でも生活できる

 

私の知人には独身男性が何人かいる。親と同居している者が多いが、独り暮らしをしている者もいる。

彼らの話を聞いていると日常生活に不便を感じている様子はない。掃除、洗濯などは機械が発達したせいで誰でもできる。食事は24 時間開いている店があるし、コンビニやスーパーで一人分を調達することも出来る。今や弁当を購入する者は男性に限らない。世の中が便利になり独りで生活することは、ずいぶん楽になった。

 

かつて男がいつまでも独りでいると、どこかに欠陥があるかのように思われた。特にそのようなものがなければ家族、親戚、職場のおせっかい役が何とか相手を見つけようと世話を焼いたものだ。いつまでも独りでいることを世間で放っておかなかった。本人も世間の目を意識して、紹介されて出会ったのも何かの縁と割り切り結婚したものだった。

 

今では結婚相手を積極的に世話しようとするおせっかい役は少なくなり、家族も本人に任せきりである。

うるさいことを言って出て行かれても都合が悪いし、平穏な日常を壊すことも気分が悪い。女性を日常生活の世話役と捉えること自体失礼な話かもしれない。妻を家政婦としての役割でみることはないと思われる。

 

 

結婚は男の自由を奪う

 

結婚すれば今住んでいるワンルームでは狭く、2DK に引っ越せば家賃は高くなる。夫婦で稼いでいるうちは家賃くらい何とでもなる。しかし子供が生まれれば妻はしばらく働けなくなる。夫一人の収入でやり繰りしなければならない。

 

やがて子供が1 人2 人と増えれば、今の住まいも手狭になり妻はマイホームを欲しくなる。妻自身が欲しいのではなく、子供が友達を呼んだり勉強したりするのに必要だという。そうして気がつけば定年過ぎまで続く35 年の住宅ローンを組んでしまう。

 

子育てにはずいぶんお金がかかる。小さいうちから情操系、運動系の習い事が始まる。習い事と言えばピアノ、水泳、英会話、学習塾、サッカーなどである。第1子が通えば当然第2 子も通い始める。

 

子供の習い事は月謝にお金がかかるだけでは済まない。定期的な発表会や検定試験、対抗試合等練習の成果を確認する場が設けられている。上達に伴いより高度の道具や消耗品も必要になる。

 

習い事には子供の送り迎えが必要になる。子供一人で通えるところでなければ親が送り迎えすることになる。送迎役を母親が勤めれば、その間フルタイムで仕事をすることは出来ない。

 

経済的負担は夫に集中するだろう。独身時代の趣味であるオートバイで仲間とのツーリングも止めざるを得なくなり、やがてオートバイはワンボックスカーに変わっていく。

 

こうして夫の稼ぎは住宅、養育に費やされ、夫が自由に遣えるお金はほとんどなくなる。家庭内でお金の話が持ち上がると、ギクシャクしがちになる。夫は妻に遣いすぎと責め、妻は夫に稼ぎが少ないと責める。

抑えていた感情が切れると、後はコントロールが効かなくなる。離婚に向けた出発点になる。

 

男の賞味期限

 

結婚して出産することは女性の役割のひとつである。晩婚化が進み医療が進んだとはいえ出産できる年齢はだいたい決まっている。高齢になれば母子共にリスクが高くなる。女性はこのことを知っているので、これまで結婚に関心がなくても、わが子を抱きたい思いから結婚に積極的に踏み出す人もいるだろう。

 

女性の役割は出産だけではないという意見があるのは承知で賞味期限という言葉を使えば、40歳はひとつの区切りになるだろう。

 

一方男性ではどうだろう。子供を作る機能は40 歳を過ぎても大丈夫と思われるが、見た目の変化ははっきりしている。髪は薄くなり、白髪も混じり、腹が出てくるといかにも親父である。女性からは見た目で対象外にされてしまう。

 

若いうちは仕事に対して将来の期待値が高いが、中年になれば将来が大分固まってくる。男性には見た目以上に稼ぐ力が求められるので、中年で安定した仕事についていなければ厳しい目にさらされる。

 

結婚しないリスク

 

男性にとって年収の多寡は結婚する上で大きな要因になる。少ない年収では家族を養えないから結婚できないという女性がいる。男性は稼ぎ、女性は守るという役割がある。

 

正社員で収入もそれなりにあるにもかかわらず結婚しない男性がいる。その理由に結婚すれば現在の自由が奪われる、今より居心地が悪くなる、結婚してもすぐに離婚している知人を見ているととても結婚する気になれないなどがある。危ない橋を渡らないという一種のリスクセンスかもしれない。

 

しかし、それは同時に結婚しないリスクを抱えたことにもなる。

身体の強さは女性の方が勝っている。平均寿命では男性79 歳、女性86歳である。出生割合でみると男104対女100で男性のほうが高い。亡くなる確率が高い分男性の出生割合が高いといえる。

 

幼児期母親に甘えているのは男の子であり、自殺者は圧倒的に男性が多い。身体だけでなく精神も男性は女性に比べて弱いといえる。出産時の陣痛は男性には耐えられないといわれている。

 

若いうちは結婚しないことで金も時間も自由になる。義務も責任も少ないので気ままに生活できる。甘ったれの子供の言い訳のように受け取れる。

 

結婚しなければ配偶者がいない、子供がいないことになる。現在は親がいてもおそらく親は先に亡くなるだろう。兄弟がいても別々の生活をしているだろう。やがてひとりぼっちになる。

 

現役中は仕事を通じて友人、知人、取引先等多くの人と関わっている。退職と共にこれまでの人間関係の全てを失うことになる。私自身以前は人間関係が無くなるなんて考えることも無かった。リスクと捉えることなどできなかった。

 

しかし現役をリタイヤされた方の話や高齢者の声に耳を傾けてみると、退職後現実となり大きなリスクであると受け止められるようになった。

 

ひとりぼっちの生活

 

NHK スペシャルで話題になった「無縁社会」に登場してくる人物は男性ばかりである。独り暮らしの老人の孤独死の状況を伝えている。仕事を失い、社会と絶縁し独りで死んでいく姿がそこにある。

 

リストラも定年も仕事を失うことには違いがない。定年退職ならば年金や退職金がある分生活費に困ることは無いだろうが、ひとりぼっちの生活は同じである。

 

自ら積極的に関わらなければ誰とも話すことがない。言葉を交わすことがない日が何日も続く。「迷惑をかけたくない」という思いから人と交わる機会を失っていく。

 

女性の方が男性に比べ長生きである。夫が亡くなってから独り暮らしの期間が必ずやって来る。独り暮らしの処世術を心得ているせいか、他人と関わることが上手である。

 

自らの事を積極的に話し、相手の身上にも気軽に入ってくる。女性の場合独居老人同士が上手く助け合っている。

 

男性の場合これまで肩書きで生きてきたせいか、容易に身上を話すことはない。腹を割って話が出来る相手は誰になるのだろうか。

 

親はすでにこの世にいない。結婚していなければ配偶者も子供もいない。

独り暮らしは気ままに過ごせると思うのは、いつでも誰かと話が出来る若いうちだからではないか。現在の日常が忙しすぎるので、孤独からくる寂しさなんて想像もできない。孤独とは誰からも関心かもたれない状態である。生きている意味さえ分からなくなってしまうかもしれない。

 

男性は女性に比べて弱い人間である。自分の存在さえ認められない寂しさに男性は耐えられるのだろうか。結婚しない男性には現状の気楽さと引き換えに想像のし得ないリスクを抱えることになる。金では解決できないリスクである。

 

永年インドでホスピス活動を行い、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは「この世の最大の不幸は、貧しさや病ではありません。誰からも自分は必要とされていないと感じることです。」といっている。

 

長野日報土曜コラム平成24年3月24日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

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