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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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41. 個別相談
42. 住宅と教育そして老後
43. 不安を課題に
44. 金融スキルで免疫力向上
47. 経営者の老後資金
48. 男と女の金銭感覚
49. エンディングノート
50. 退職者の生活設計
51. 死ぬ前にやっておきたいこと
52. お葬式
平成22年
52 お葬式
ある日突然の出来事
昨日までは普通に話が出来ていたのに、容態が急変し自宅で親族に看取られ亡くなる。長期間病院生活を送ることなく、痛みに苦しむこともなくピンピンコロリが死に方として望ましいと思われている。長期の闘病生活は本人も苦しいし、家族にも相当の負担が生ずる。
自分自身で生き方は決められても死に方は決められないものである。医療技術の発達により口から食事が取れなくなれば、鼻から直接胃に栄養が供給される。更に病状が悪化し、意識がなくても点滴で更に生きることが出来る。
親族から見れば次第に弱っていく姿から死は近いと分かっていても死は突然やってくる。看病している間は何とか元気に戻ってほしい、もしくは1日でも長く生きて声を聞かせて欲しいと願うに違いない。
日々の仕事と合間を見つけて病院に通っている間は、死を前提にした準備はほとんど行なわれない。そんなことを考え口にすること自体が不謹慎と受け止められる。
よって、どんなに闘病生活が長く時間があっても親族の死は突然やってくる。そして亡くなった後のことを本人に相談することは不可能である。
葬儀・告別式の流れ
病院で亡くなれば担当医が死亡診断書を作成する。自宅で亡くなった場合は担当医に連絡して死因とこれまでの病気の因果関係が明確であれば死亡診断書になるが、因果関係が不明確であれば死体検案書が作成され、警察の調査を受けることになる。
遺体を病院等から運び出す場合、葬儀社に連絡して寝台車の手配を依頼する。遺体を自宅に搬送できない場合は葬儀社の施設を借りることも出来る。ここで肉親や特別な関係者に連絡しながら、葬儀社と通夜および葬儀の進め方が打ち合わせされる。
すでに檀家になっていれば菩提寺に連絡するが、特定のお寺がない場合は特別に読経の依頼をすることになる。続いて火葬場に予約を入れ、市町村役場に死亡診断書と共に死亡届を出し、火葬許可証を受け取る。亡くなってから24時間以内は火葬することができない。その間に通夜が行われる。
通夜葬儀の日程が決まったら、親戚や友人、関係者、町内に連絡する。電話でよい場合もあれば直接挨拶に伺うこともある。お悔やみ欄に掲載するため新聞社にも連絡しなければならない。
葬儀を行うにあたり、喪主の決定、葬儀の規模や予算、遺影写真の手配、霊柩車、会葬礼状、お供養品、装具の手配、式場の設営、バス、ハイヤーの手配、生花、花輪、棺、灯篭等の供物の注文、式服、貸衣装の手配、通夜ぶるまい、精進落とし、食事等の料理、手伝いの弁当、引き出物の手配等突然の出来事から山のような業務を行なうことになる。ひとつずつ検討しながら選択することはかなり難しい。
通夜では遺体を整え北枕で安置し、枕飾りが用意される。僧侶を迎えるためのお茶等の準備も必要になる。多くの方が訪れるので駐車場整理、受付の人や場所が必要になる。履物や傘などが間違われないように気を配らなければならない。
喪主は久し振りに合う親戚や関係者にお礼を言いながら、入院生活の状況や亡くなったときの様子など伝えることになる。関係者が揃い僧侶による枕経が行なわれ隣組の方とのお別れの後、遺体が棺に納められ喪主の挨拶と続く。
その後料理が振舞われ喪主はお酌接待に忙しく動き回ることになる。喪主はお客様を迎えるホスト役と葬儀を仕切る主催者であるため死者を悼んでいる暇はない。会葬者が帰った後親族だけになり通夜を迎える。一晩中線香を絶やさぬよう親族が交替で番をすることになる。
告別式後の出棺が一般と思われるが、地域によっては葬儀の当日になると霊柩車が来て出棺となる。
火葬場まで行く人のためにバスが手配されている。遺体が自宅から霊柩車に移され、火葬され姿を変えるたびに親族は故人との別れを改めて実感していく。
火葬場では写真、位牌などが持ち込まれる。荼毘にふすこと約2時間、親戚やお世話になった方々にお礼と労のねぎらいの意を込めて料理が振舞われる。
お骨揚げでは先ほどまでの棺や遺体の姿は全くなく、熱を帯びた骨が散らばっている。箸から箸に渡しながら骨を骨壷に入れてゆく。最後に喉仏部分の骨を拾い骨壷に収められる。
親族が火葬に行っている間に葬儀告別式の準備が進めれれる。式場には祭壇や生花が飾られ、外には花輪が飾られる。準備が整った頃一般の方を含め多くの方が焼香に訪れる。故人の親しい方でも喪主とは初めて合う方がいる。
一般に親戚や特別な関係者が告別式に参列する。僧侶による読経後弔電等が披露され、参列者が焼香し喪主の挨拶で告別式は終了する。その後精進落しが振舞われ親族は再び接待に追われる。
お葬式の費用
予期していたとしても人の死は突然やってくる。死と共にやってくる通夜、葬儀・告別式への応対ははるかに想像を超える。家族だけで全てを対応することは不可能なので、葬儀社に頼るところは大きい。全ての参会者が帰り非日常的な喧騒が終わり残ったものは、故人の遺骨と遺影と位牌そして請求書になる。
葬儀にかかる費用は葬儀一式費用、寺院費用、飲食接待費用の3つに分けられる。葬儀一式費用とは遺体の搬送に始まり通夜、葬儀、告別式、火葬、骨揚げなどにかかる物品やサービス、施設利用料である。葬儀社が直接取り扱い、提供する物品、サービスになる。
寺院費用とは、通夜から初七日までの読経料および戒名料である。戒名は通夜が始まる前に菩提寺の僧侶に付けてもらうことになるが、寺院への貢献度により異なり院居士・院大姉では相当高額になる。
飲食接待費用は料理、飲み物、会葬返戻品等になるが、会葬者数や料理等の内容によって大きく異なってくる。
2010 年日本消費者協会のアンケート調査によれば、平均額で葬儀一式費用127万円、寺院費用51万円、飲食接待費用45万円合計223万円である。
実際にはどのような葬儀を行うかで大きく変わってくるので、事前に葬儀社に相談して見積を取ることが望ましい。223万円は支出であるが、香典が収入としてあるので、差額が自己負担となる。
葬儀は突然発生する非日常的な出来事ゆえに詳細な費用検討は難しいかもしれない。故人を偲ぶ思いを表すために遺族はより高額の選択をしかねない。
葬儀費用を故人の預貯金から支払おうとすると、金融機関は故人の口座を凍結しているので引き出しが出来ない。あらかじめ現金を用意しておくか、遺族が立替払いをすることになる。
人生の卒業式
葬式に大金を出して盛大に行なえば、そんなことにお金をかけるなと故人が思うかもしれない。一方直葬といって葬式をせずに火葬のみで済ませることも出来るが、後で本当に供養できたのか後悔が残るかもしれない。
以前から葬式不要論があり、家族葬や生前葬が少数派であるが行なわれている。代々続く家であれば菩提寺の檀家になっているが、次男や田舎を離れた人などは寺院の檀家になっていない。
亡くなって戒名を授かるために寺院の宗派に所属する。そのための布施や戒名料は決して安くない。しかし寺院に所属することにより墓地を設けることができる。
葬式は昔から当たり前のように行なわれ、省くことなど想像も出来ないことかもしれない。親族や親しい人は故人の死で深く悲しむことになる。それを乗り越え明日への一歩を踏み出すために、非日常的なイベントによって心の整理をするといわれる。
葬式をどうするかは縁起でもない話になるが、送った人には常に後悔が付きまとう。時間が経てば薄れるだろうが送る人、送られる人の間で僅かでも生前に会話がなされれば救われることは大きいだろう。
長野日報土曜コラム平成22年12月25日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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