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47 経営者の老後資金

経営者の老後は安心

 

自営業者や企業経営者の老後の生活資金を不安視する意見は多くない。それはサラリーマンと異なり体力が続く限り働き続け、定年がないことによると思われる。60歳を過ぎても働いていれば、勤労所得と老齢年金で十分豊かに暮らしていけるからだろう。

 

これは企業経営者にとって企業が存続して、かつ自分に出来る仕事があることが前提になる。体力は衰えても経験に基づく知恵や人脈、管理能力は、簡単には衰えない。

 

しかし、時代が変わり、環境が変われば企業の存在価値は薄くなる。企業経営者は自らの人生と資産を全て会社に投資して来た。経営者と企業は一心同体である。

 

取引先が世代交代したり、自社技術が陳腐化したり、加入業界自体が衰退すれば、仕事がなくなり、企業がなくなり、やがて経営者の老後は負債だけが残りかねない。

 

また経営者の保有資産のほとんどが自社株と不動産に偏っている。換金しにくい資産ゆえに負債返済や老後資金にはなりにくい。

 

一度上げると下げづらい

 

経営者は普段から「社長」と呼ばれ、持ち上げられた扱いを受けている。それがいつしか錯覚を起こし、自ら社長像を作り上げてしまう。こんな安物買いをしているところを誰かに見られたら恥ずかしいので、社長なら高級な店で買い物をする。飲みに行ったときは気前良く奢るのは、社長としての当然の振る舞いのように思い込んでいる

かもしれない。

 

企業の経営状態が悪くなって、明日には倒産という状態でも経営者仲間の集まりに参加してボランティア活動をしていたという経営者の話を聞いたことがある。どんなに環境が変わっても、昨日の生活スタイルは今日また明日以降も続くものと思ってしまうのかもしれない。社長として振舞う態度がいつしか何物にも変えがたいアイデンティティーになってしまったのかもしれない。

 

誰でも美味しいものは食べたいし、立派な家に住み、高給な車に乗りたい。自らの贅沢と受け止めているうちは変更もきくが、贅沢をすることが自分の存在価値を証するものとなれば簡単に変更は出来ない。

 

変更することは自分自身を否定し失うことになるからだ。

経営者の老後資金が多く必要となる理由に相続がある。保有資産が自社株や不動産であっても基礎控除を超える資産であれば相続税が発生する。物納という方法もあるが、企業が継続使用する敷地であれば物納は出来ない。

 

税金を払えるだけの現金が必要となる。また遺産分割においても相続人間の公平性を計れば現金が必要となる。分割協議が紛糾すれば家族が将来に渡り争い続けることになってしまう。

 

老後資金作り

 

サラリーマンの老後資金としてあげられるのは、老齢年金、退職金・企業年金と自助努力になる。一般に60歳で退職後85歳までの25年間で3,000万円くらいは必要だといわれている。経営者の場合金額としていくらあれば足りるかは、それぞれのライフプランにより異なるだろうが、おそらく生活水準を上げた分一般サラリーマンより多く必要となるだろう。

 

老齢年金は現役時代に年金保険料を多く払えば、その分多くの老齢年金給付が得られる。しかし、退職金・企業年金制度は経営者とサラリーマンでは異なる。

 

公的な制度では厚生年金基金、適格退職年金制度が昭和40年代から導入された。これらの企業年金は将来給付額が確定している確定給付年金であるが、規定上の利回りと実質の利回りに差が生じ、その差を企業が穴埋めをしなければならないことから解散や廃止が行なわれている。

 

適格退職年金は現在新設が認められず、現在継続中の契約も平成24年3月をもって廃止もしくは他の制度に移管することになっている。

 

中小零細企業が加入している退職金制度として中小企業退職金共済と特定退職金共済がある。双方とも企業が掛金を出し、退職金の準備に充てられる。これらの制度は従業員のための制度であり、経営者は加入できない。

 

自社年金

 

中小零細企業経営者が多く取り入れている老後資金対策として、広く生命保険が活用されている。70歳を超える年齢で満期を設定した定期保険は、保険期間中に死亡すれば死亡保険金、途中で解約すれば解約返戻金が支払われる。企業退職時にこの保険を解約して解約返戻金を退職金として受け取るのである。

 

この場合企業が負担する保険料の1/2が損金になり、1/2が資産になるので、節税効果が期待できる。

加入年齢により多少異なるが、払込保険料に対して7割近くが返戻される場合がある。損金計上分を含めると9割以上が返戻される計算になる。

 

定期保険では被保険者を単独で選択できるが、従業員を含め全員を対象にした終身ガン保険では保険料が全額損金できるタイプがある。また、加入者を全員対象に養老保険に加入すると、保険料が1/2損金1/2資産計上になる。養老保険の満期保険金は退職金として活用できる。

 

生命保険を用いた資産形成は税制改正により、当初の目論見が外その他の自社年金としては税引き後利益を社内に留保して、退職時に払い出す方法である。生命保険には損金部分が認められるので、企業にとって有利と受け止められている。

 

確定拠出年金

 

これまでの企業年金制度が見直され、平成13年に確定拠出年金が導入された。名前の通り毎回の掛金は確定しているが、年金としての給付額は未確定である。加入者が個別に商品を選択して運用結果に応じて給付額が変動する。

 

確定拠出年金には企業で掛金を負担する企業型と自営業者や企業年金のない従業員が加入する個人型があるが、ここでは主に企業型の話をする。

 

加入対象者は経営者を含め従業員全員であり、掛金は全額損金で上限が月額51,000円である。掛金額は役職や勤続年数によって企業毎に決められる。

 

加入者は運営管理機関が提示する金融商品から加入割合を決めて選択する。金融商品の中には元本が変動するリスク商品が含まれるので、投資教育が必要とされるが、必ず元本確保型商品も含まれている。

 

運営管理機関の中には月々の掛金を給与として受け取るか確定拠出年金の掛金として受け取るかという退職給与選択性を取り入れているところがある。もし現在の給与の中から掛金が拠出されれば、給与は減額され社会保険料や所得税等も減額されることになる。もし経営者が破産した場合積立てられた年金資産は他の個人資産とは分別されるので、債権者に差し押さえられることはない。

 

こうしてみると確定拠出年金企業型は経営者の老後資金として有効に見えるが、良いことばかりではない。加入期限が60歳と決まっているので、年齢によっては加入できない。60 歳以前に退職したとしても60 歳以降でないと受給できないことがある。

 

また掛金限度額が51,000円と決まっているので、10年間加入しても元本確保型では600万円を少し超える金額である。生命保険と比べると健康状態による審査はなく、掛金に対する返戻率は元本確保型を選択しても高くなるだろう。生命保険には万一の保障があるので、利回りだけを論ずるのは不適切かもしれない。

 

投資に対する格言に「卵をひとつのかごに盛るな」があるが、企業資産と経営者の老後資金を同一にすることはリスクの集中になる。リスクの分散を図るならば、経営者の老後資金は企業資産から切り離しておいた方が安全かもしれない。

 

長野日報土曜コラム平成22年7月24日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

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