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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

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選択肢が多いほど混乱する

 

夕方近くにパン屋に行ってもほとんどが売り切れになっていることがある。お目当てのクロワッサンは早々と売り切れ、多くの棚が空の状態である。残っているものは僅かな種類がまとめて袋詰めされている。

残っているパンの選択肢はほとんどなく、買うか買わないかの判断だけである。まとめて袋詰めされたものが割り引きでもされていれば、多少のお得感があるもののあまりに選択肢の少なさにがっかりである。

 

それでは選択肢が多ければ多いほど良いのだろうか。掘り出し物を見つけにフリーマーケットや蚤の市に出かけたとしよう。ここでは値段はあってないようなものだ。店員との交渉により価格は決定される場合がある。物の購入より店員との交渉を楽しむ場かもしれない。

はじめは店員とのやり取りを楽しんでいても、そのうちに多くの誘惑や店員との駆け引きに疲れてくる。旅行先の土産店でも同様だ。何がお土産として相応しいか予め決めておかなければ、店員の言いなり、その場の雰囲気で流されてしまう。

 

自分に確固たる基準がなくあまりにも選択肢が多いと、選択を遅らせるか選択しない結果をもたらす。何かを判断しようとするとき自分が納得できる理由が見つかれば決断できるが、迷っていては次の行動はできない。求めているのは物ではなく自分に適した理由である。

レストランに入りワインを注文しようとメニューを見たら3,000円と5,000円の2種類があった。さてあなたならどちらを注文するだろうか。実際は誰とどのような状況下によって異なるだろうが、ボーナスが出たばかりでは5,000円、今月が厳しければ3,000円となるかもしれない。

 

もしワインリストに7,000円の品があれば間を取って5,000円のワインを注文するのではないだろうか。

人の感覚には端を嫌う傾向があるので、中央にある5,000円が選択される可能性が高くなるようだ。これは客単価を上げる心理的誘導に使われる方法である。

しかし同じような値段のものが数多くあったら、迷いが生じ決定する理由が見当たらず、結局いつもの飲み慣れている物を注文することになる。購入の決断は自分を正当化する根拠が必要である。

最近加入者範囲が拡大された確定拠出年金の金融商品ラインアップではいくら数が多く

ても選択に迷うだけで結局減らないが増えることのない元本確保型の定期預金が選択されることが多い。

 

錯覚はつきもの

 

現在あなたは自動車を保有しているとする。この自動車を売るとしたらいくらなら売るだろうか。一方この自動車を買うとしたらいくらなら買うだろうか。世の中の情報に惑わされずに考えて欲しい。おそらく売値>買値ではないだろうか。

これは一旦自分のものになると手放したくないという心理が働くためといわれている。あるものを得る効用より現在保有しているものを失う痛みのほうが大きく感じられる。人にはこのような損失回避の思考が備わっている。

 

この傾向は販売手法に利用されている。無料で試利用し気に入らなかったら期間中いつでも返品可能商品のほとんどは返品されないといわれる。一度利用すれば自分のもののように感じ手放すことは容易に出来ない。返品するつもりで気軽に利用すると、結局購入することになる。

「タダより高いものはない」ということわざは何かただで貰ったら、そのままではいられず何か返さなければならない人の返報性からきているが、損失回避の思考にも共通する。

 

代々続く家では土地の売却は容易ではない。よほどのことがない限り自分の代では売却せず次代に任せようとする。積極的な土地活用には関心は示しても損失回避の思考から行動に移れない。

自動車を買い替える際これまで使用していた自動車を下取りに出す。この場合新車価格を値引くか下取りを高く買い取るかでは、下取りを高く買い取ってもらえるほうが受け入れやすい。売る側は同じ効果でも形態や表現が変われば受け止め方は異なる。

 

また衣料品店に行ったら10,000円の値札が8,000円に訂正されたジャケットがあった。もうひとつは12,000円の値札が訂正され8,000円になっていたら、どちらを選択するだろうか。

おそらく元値12,000円のほうだろう。アウトレットに行けばよくあることだが現在同じ値段でもかつての元値が記憶に残る。

これをアンカリング効果といい、現在の値段ばかりでなくかつての値段が記憶に残り行動に影響を及ぼす。

株式の売買では現在が高値と思えば売却するところ、買値がアンカー(錨)として記憶に残っているので、少なくとも買値を超えないと売却できない。売却価格が買値によって影響される。

 

誤った判断を犯す

 

コイン投げで5回続けて表が出たが、次はどちらが出るだろうか。多くの人はそろそろ裏が出るだろうと考える。大数の法則に則れば表と裏の出る確率は50:50なので裏が出ると考えたのだろう。

6回目のコイン投げでは表と裏の出る確率は50:50のままである。投げる回数が多くなればやがて大数の法則に則るだろうが、たかが5、6回のコイン投げでは大数の法則に則るとはいえない。

 

現在日本の平均寿命は男性81歳女性87歳である。平均寿命は年々少しずつ延びている。現在60歳の男性はあと21年あり更にその間寿命が延びるだろうから25年くらいは生きられると考える。

しかし平均寿命は日本人1億2000万人を対象にした平均値なので、その値がそのまま自分に当てはまるとはいえない。健康に気を使わず無茶を続ければ当然寿命は短くなる。

 

サラリーマンの老齢年金は平均で月額20万円といわれている。自分もサラリーマンなので将来月額20万円の老齢年金が受取れるかといえばそんなことはない。現役中給与が高い人はそれなりに多くの年金保険料を払ってきたので、年金額はもっと多くなるだろう。

とかく自分は平均値付近に属している思いがちだが、世の中の平均値が自分とかけ離れている場合はいくらでもある。

 

ジンクスといわれるものもそうであるが、偶然の出来事に何か意味をつけたがる。何の根拠もないのに一般化しようとする傾向がある。デビューした年に活躍した選手は2年目にぱっとしない、オリンピックの選手団主将は好成績を残せないなどは当たっているような気もする。

日本では数字の4と9は好まれない。死と苦を連想させるからという理由からホテルの部屋番号、自動車の登録番号には使われていない。13はキリストの最後の晩餐の出席者が13人であったことから不吉な番号とされている。

 

ジンクス、げん担ぎ、語呂合わせなど昔からの言い伝えも多く、先人の知恵として受け止めるものもあるが、気にし過ぎて身動きが取れなくなるのはよろしくない。

宝くじを黄色い布に包んで神棚に置くとか、売り出し当日の朝並んで購入する、よく当たる店に行って購入するなどは秩序のないところに秩序を見つけたがる人の行動かもしれない。知識の歴史には自然界から見いだした法則は数多い。偶然の出来事と片付けずに何らかのルールを見つけ出そうとするのは人の習性かもしれない。

 

人はコンピュータや人工知能と異なり合理的な判断は苦手と思われる。理性に優先して本能や感情が判断に影響を及ぼす。直感による決断に頼れば失敗、後悔、挫折など痛みを味わうことが少なくない。せめてこの事を承知しながら大きな決断をするときは平静になって行いたい。

 

長野日報土曜コラム 平成29年4月22日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

 

 

128 合理的にはいかない

 

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