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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

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ジキルとハイド

 

一人の人の中にも善人と悪人の側面があると思われる。他人のために自分の人生や資産を投げ出して力となる。名声や栄誉を求めることなく他人の為になることを自分の喜びと感ずる。

 

同じ人物が一方では動物など自分より弱いものを傷つけ、平然としていることがある。同じ人物の行動とは全く思えない。

 

英国の小説で「ジキルとハイド」は人間の二面性を描いた小説である。ジキル博士は薬を飲むことにより容姿も性格も全く別人のハイドに変身する。

 

普段は紳士であるジキル博士がハイドに変わると少女を転倒させ踏みつけたり、老人をステッキで撲殺したりする。

 

薬によって二重人格が引き起こされているが、程度の差はあるがこのような二面性は一般人のどこかに潜んでいるかもしれない。

 

ゴミ拾いのボランティア活動に参加しながら、タバコの吸殻を側溝に捨てる。通りを花で飾る活動に参加しながら、枝を折ったり花を摘んだりする。人目が無いところでは普段と異なる本性が現れることがある。

 

二重人格や多面性といわなくともこのようになりたいけれどできない、いけないと分かっていても止められない自分がいる。

 

やめたいけどやめられない

 

お金を貯めたいけどつい衝動買いをしてしまう。タバコは健康に良くないと知っているけどなかなかやめられない。ダイエットをしようと考えていたが明日からにしようと今日はいつものように好きなものを腹一杯食べてしまう。休肝日の予定だったが誘いを断れずに今日も飲んでしまった。こんな経験はないだろうか。頭で考え決めたことであっても、その場に立つと違った行動を取ってしまう。

 

考えていたことと異なる行動を取ると後悔が生ずる。意志の弱さを痛感し自分が情けなく思えて仕方がない。このような頭と行動の不一致は自分の中でバランスが崩れた状態になる。すると崩れたバランスを立て直そうと次の行動を取ろうとする。

 

例えばお金を貯めたところが使わないであの世に行くかもしれない。そうすれば苦労して貯めるだけ無駄になる。それより現実を有意義に過ごすためにお金を使うほうが世のため他人のため自分のためになる。

 

タバコはこれまでも吸ってきたが、体に大きな変化は現れていない。健康診断でも多少標準値を外れる値があっても要経過観察といわれているだけである。タバコ代がもっと上がったらきっと止められるだろう。

 

おいしく食べられることは健康の証である。病気になったら食べたいものが食べられなくなる。健康なうちに思う存分に食べておこう。

 

自分にとって都合の良い言い訳を考え、バランスを取っている。しかし、いくらその場におけるバランスを取っても繰り返して言い訳を考えることが面倒になり、煩わしくもあり自分で自分が嫌になってくる。

 

やがてお金を貯めたいとかタバコを止めようとかダイエットをしようとか休肝日を設けようとか考えなくなる。

 

気にしなくなれば自分の中で葛藤も生じず嫌な思いをすることもない。

 

もう一人の自分がいる

 

二重人格でなくてもやろうとする自分とコントロールしようとする自分が存在する。同じ人物なのにまったく反対のことを考える別人物のようである。買いたい、吸いたい、食べたい、飲みたいと感じながら、それらをやったらいけないとブレーキをかけている自分がいる。

 

人間の脳には衝動をつかさどる部分と衝動を制御しようとする部分がある。脳の前頭前皮質の上部は衝動を引き起こし、前頭前皮質の中央下部には目標や希望を記憶し衝動を制御しようとしている。

 

衝動は人間に進化する過程で経験から学んだことを記憶し受け継がれたものである。甘いものやこってりした物はおいしく感ずる。食べ物に何日もありつけない状態では糖分や脂質は生存するために欠かせない栄養素である。おいしく感じなければ摂取されない、摂取されなければ生き続けることが不可能になる。

 

しかし現在は何日も食べずにいることはない。一般に一日3食とり、さらにおやつを食べたり夜食を食べることもある。糖分や脂質を求めなくても生存するに困らない栄養を吸収している。反対に糖分や脂質を摂り過ぎることで新たな病気を発症する危険が生じている。

 

衝動は生き続けるために備わった知恵であるが、その知恵が役立った動物の時代と現代の人間社会とはかけ離れ邪魔になる場合も数多い。

 

一方目標や希望を創造し記憶して自己をコントロールしようとするのは人間だけかもしれない。目の前の食物を仲間に与えたりする動物はいるが、来年のために食物を確保し保存しようとする動物がいるとは聞いたことがない。

 

人間には衝動と衝動をコントロールしようとする理性が脳の中に存在するので、一人の人が二つの心を持ち合わせている。

 

衝動は生きる力

 

人の中にある衝動の源である本能は目標や希望を叶えるために邪魔になるものばかりではない。突然大きな音がすれば何かが落ちてくるかもしれないと感じ、とっさに手で頭を覆い身をかがめるだろう。目の前に異物が飛んでくれば、何かを判断する前に目を閉じ異物の侵入を防ぐ。食べたものが身体に好ましくないと感ずればためらうことなく吐き出そうとする。本能は身体を傷つけたり犯そうとすることを理屈抜きで妨げようとしてくれる。

 

衝動行動は欲求の現われのひとつと思われる。生存し続けるためには頑丈な身体でなければならない。

また、自分の生存ばかりでなく子孫を残し家族を形成し、仲間が生存し続けることも欲求の中に組み込まれている。

 

山で遭難したなど極限状態では、もうだめだと諦めてしまうか必ず誰かが助けてくれるのでそれまで頑張ろうと思うかのわずかの差が生死を分けることがある。

 

一人で生きていくには危険が多い。複数の敵に襲われたら勝てる見込みは少ない。そこで群れを作り生きていくほうが生存しやすい。

 

しかし群れを維持していくためには新たなルールが必要になる。地域社会も企業も組織が形成されている。組織のルールを外れて自分の本能のままに生きることは許されない。組織が形成されると個人より組織のルールが優先されるのは、群れとしての存続が求められているからだろう。

 

衝動をコントロールする

 

衝動は生命を維持する目的で太古の時代から生物が進化を遂げながら経験し記憶した結果であるので、簡単にコントロールなど出来ないと考えたほうが良いだろう。もしコントロールできれば正に頭脳を持った精密機械であるサイボーグになってしまう。人間らしいとは喜怒哀楽の感情を持ち失敗し落ち込んだり、成功して喜び勇んだりする姿かもしれない。

 

その場その場で湧き上がる衝動は長時間継続しないといわれている。時間にして10分も我慢すればその衝動は消えるということだ。買いたい、吸いたい、食べたい、飲みたいと感じたら10分間気を紛らわせることが出来れば、衝動に打ち勝つことが出来る。

 

スタンフォード大学の研究によれば椅子に腰掛けて背筋を伸ばして、呼吸に意識を集中させ瞑想することが有効であるという。一日に何度か繰り返し、衝動が沸きあがる前に気持ちを落ち着かせることを勧めている。

 

瞑想中に考えることはお金が貯められなければどうなるか。何のためにお金を貯めようと考えたのだろうか。将来

の住宅取得、子供の養育費、キャリアアップのための自己投資等より具体的に描くのである。

 

さらに住宅取得ができたらそこで何をするのか。ガーデニングで季節の草花を植え水やりしている光景を描くことが出来れば、一時的な衝動をコントロールしやすくなる。同時に現状のままを繰り返していれば、さびしい将来がやってくると考えれば効果は増幅される。

 

将来のことを考えることはライフプランを立てることである。何も考えなければ場当たり的な衝動に左右された生活を送ることになるだろう。

 

しかし、一度や二度のチャレンジでは衝動をコントロールすることは難しいかもしれない。繰り返し諦めず何度もチャレンジし、それが習慣になればコントロールできたといえるだろう。

 

長野日報土曜コラム 平成 26 年 4 月 26 日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

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