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84 起業は易し継続は難し

企業の目的は継続すること

 

かつて起業して間もない頃はしきりに起業並びに企業に関する書籍を読んでいた。その中に企業の目的はゴーイングコンサーン(Going concern)であると記されていた。ゴーイングコンサーンとは企業は個人と異なり寿命がなく、永遠に継続するという意味であった。

 

継続することにより顧客、従業員、取引先、株主、金融機関等にサービスや利益を提供し、社会に貢献する。そして企業が継続するために適正な利益を確保しなければならないと書いてあった。利益拡大は企業の第一目的ではなく、手段とともに結果であるといわれている。

 

企業には永続的な事業体といわれながら、「企業の寿命は30年」という説がある。1983年に発表された日経ビジネスによるものだが、企業として生きが良いのは当初の10 年間、さらに元気な優良企業としていられるのが30 年ということである。

 

その時代にあった商品やサービスでも30 年も経てば社会に受け入れられなくなるということであろう。

成功体験が強ければ強いほど過去の栄光が邪魔をして、新たな商品やサービスの提供が不可能になる。

 

新たな商品やサービスは現在のビジネスモデルとは相容れないものであれば、なかなか着手できないものである。

このような話は世の中の大企業には当てはまるかもしれないが、個人が法人成りした場合には企業の継続を妨げる要因が他にも存在する。

 

自己啓発セミナー

 

営業は顧客に断られたところから始まるといわれるが、起業家も同様である。新たな企画をすんなり受け入れる顧客は少ないはずだ。既に取り入れている製品や仕組みを新しくすることは顧客にとって抵抗があるので、断られて当然である。ここで挫けない精神を鍛えるために、意識改革を目指した自己啓発セミナーが行われている。

 

1 日コースもあるが中には1週間の泊り込みコースもある。一度現在の自分にある肩書きや先入観を全て取り払って、素の状態から将来成りたい自分を描き、実際に成ったときの状況を仮想体験する。そのためには何をすべきか、どのように行動すべきかを一つずつ修得していく。

 

セミナーでは大人でも人前で涙を流すことも多いという。集団で行われるセミナーなので、参加したメンバーとは苦楽を共にした戦友のような一体感が生まれる。やがて自分には必ずできると信じてしまう、洗脳セミナーに近いものがある。

 

セミナーに参加してしばらくは人が変わったように取り組むが、時が経つと元の自分に戻ってしまうことがある。日常の業務の中でバランスを取り戻したということもできるが、一つのことを成し遂げようとするときは洗脳されるくらいに信じ込むことも必要である。

 

書店に行って自己啓発コーナーに必ず置いてあるのが、デール・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」である。本を繰り返して読むことはほとんどしないが、この本は繰り返して読んだことがある。「人を動かす」は1936 年に出版され、取り上げられる事象には時代のズレを感ずるが、伝えている内容は今でも十分通用する。自己啓発読本は数多いが、根本はデール・カーネギーの2冊であると思われる。

 

事業分野の選択

 

企業が継続していくには常に変化し続けなければ存続が難しい。現在行われている事業がいつまでも続くと思わずに、常に新たな事業転換をしなければ時代に取り残される。新たな事業に着手する際に3つのポイントがあるといわれている。

 

そのポイントは「誰も手をつけていない」「人が困っていること」「追い風の分野の事業」である。この3 つをポイントに事業展開すれば良いと学んだ。

 

確かにそうだとそのときは思ったが、別の人に言わせると、誰も手をつけていない事業なんか無いと言う。世の中多くの人が生き残るために日々事業転換を考えているところで、誰も手をつけていない事業などないということだ。もしそのような事業があるならば、儲からないから誰も手を出さないのである。

 

またトップランナーには先駆者利益が与えられるというが、誰も手をつけていないので、失敗を体験するまでそのリスクに気がつかないことがある。その失敗が致命傷になれば事業の継続はあり得ない。ならばセカンドランナーを選択するほうがリスクを抑え利益を得ることが出来るということも納得できる。

 

事業分野や経営上の意思決定を行う際に用いられるSWOT 分析がある。強み(Strengths)弱み(Weaknesses)機会(Opportunities)脅威(Threats)をそれぞれ分析して意思決定を行う。企業の内的要因として強みと弱み、外的要因として機会と脅威を取り上げる。内的要因として人材、財務、製造力、マーケティング力が含まれ、外的要因には、マクロ経済、技術革新、法令・社会環境・文化の変化が含まれる。

 

これらをマトリックスにまとめて表される。

分析は担当部署より選出されたメンバーでチームを編成して行うが、事業主一人で行えば先入観や偏見が入り込んで客観的な判断は難しくなる。

 

事業継続の妨げは我にあり

 

デフレ状態がすでに20 年以上続いている。この間設備投資も公共事業も毎年減少を続けた。円高により親企業が海外移転を進めた結果、売上不振で会社を閉じた製造業や受注量が減少し倒産した建設業はいくつもあった。

 

親企業に頼ってきた製造業は新たな受注先開拓はこれまでの取引先との信頼関係を壊すことになる。また厳しい業界では新参者と容易に取引をしてくれる環境はない。

 

公共事業に頼ってきた企業は、減少するパイを同業者で分け合うか、赤字覚悟で低価格で入札する。

慣れ親しんだ事業環境に浸かっていれば新たな顧客を開拓しようとする発想もすでになくしている。変わり行く時代の変化に経営者として手を打たなかったと言えばその通りであるが、真面目に商売をしていても会社を閉じることはいくらでもある。

 

企業の倒産の原因は内的要因もある。バブルの頃は土地の価格が上昇を続け、1,000万円で購入した土地がまもなく2,000万円で売れることもあった。

 

このような体験をすると、現地で確認したこともない土地を思惑だけで購入する。しかも銀行からの借入金で購入すれば、利息をつけて返済しなければならない。資金繰りに行き詰った企業は倒産することになる。事業というよりギャンブルに似ている。

 

事業が順調に推移すると当然金回りが良くなる。今まで手にしたことのない金を手にすると人は理性を失うことがある。飲む、打つ、買うに溺れ、やがて違法なところまで足を踏み込んだ者もいた。

 

夢を抱き時代の波にのってパソコン教室を開いた者がいた。高価な機器やソフトを揃え、事務所を兼ねた教室を賃貸した。しかし、パソコンで高度の技術を教えるつもりが、求める生徒は皆無で、現れる生徒はたまにゲームをやるだけであった。

 

思い込みだけで始めてみたがマーケティング不足か宣伝不足か、1 年も経たずに教室を閉めることになった。

中小企業の資金借入れには社長の個人保証がつきものである。会社の倒産は社長個人の自己破産につながる。再起しようにも元手もなく、銀行から借り入れができなければ再起は不可能に近い。

 

それでも何とかして再起した社長もいるが、相当の苦しさを味わったことだろう。その分姿勢は低くタフな精神の持ち主に生まれ変わっていた。

 

社長になれば自分のことはもちろん従業員や取引先による失敗の責任を取らなければならないこともある。日頃から広く目を配り、バランス感覚を備え、気を引き締めておかなければ、企業の継続は危ういものになる。

 

長野日報土曜コラム平成25年8月24日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

 

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