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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

28. ライフデザイン

29. FPビジネス

30. 新社会人の金融知力

31. 家の取得

32. キャッシュフロー表から始めよう

33. FPワークショップ

34. 本当の保険の見直し

35. FP試験に合格する

37. お金と教育

38. 老後の生活は株価次第

39. 賢く備える老後資金

40. FPとの関わり

平成21年

 

FP試験

 

ＦＰ資格は非営利法人日本ＦＰ協会認定のＡＦＰとＣＦＰ®があり、ＡＦＰになるには日本ＦＰ協会認定の研修を受けた後、ＦＰ２級技能検定（年３回1,5,9 月）に合格します。さらにＣＦＰ®認定者になるにはＡＦＰ資格取得後ＣＦＰ®試験に合格し、研修を受けることになります。

 

一方国家資格は社団法人金融財政事情研究会の試験に合格します。こちらは1,2,3級とありＦＰ3級技能士受検は誰でもできますが、2 級受検は3 級合格者もしくは実務経験２年以上の者となっています。また１級受検は２級合格者であり実務経験１年以上の者となっています。

 

試験内容は学科と実技に分かれ、２,３級試験では学科は選択問題になり、実技はケーススタディ問題となります。３級学科の合格率は実施時期にもよりますが70％くらいで、実技は60％くらいです。２級になると学科、実技ともに20％くらいになります。１級には面接試験がありますが、この試験の合格率は80％と高くほと

んどの方が合格しますが、学科の合格率が10％に満たないところです。

 

昨年までは過去の問題を一通り消化しておけば心配なく合格できましたが、今年に入ると出題表現が多様化してきたので、より基本的な理解が求められるようになりました。

 

ＦＰ６科目のアウトライン

 

ＦＰは何をするのかといえば、個人のお金に関する悩みや相談にのることを仕事とします。お金に困っている人にお金を融通し、保険や金融商品を販売するのではありません。また本人のために代理業務を主にすることもありません。本人や家族の夢や希望に沿って実現できるよう支援することになります。

 

お金や資産に関して幅広い知識は必要になりますが、申請、申告、購買、加入という実務手続きに関する知識には重点が置かれていません。求められるのは仕組み、制度、概要の理解が重要になり、顧客の現状分析に基づいてこれからできる選択肢の抽出と実行支援に重点が置かれます。

 

ＦＰ試験には「ライフプランニングと資金計画」｢リスク管理｣｢金融資産運用｣｢タックスプランニング｣｢不動産｣｢相続･事業承継｣と６科目ありますが、人が生まれてから死ぬまでの間にお金や資産に関する知識が一通り揃っています。

 

試験問題には細かな部分が出題されているように思われますが、これに気を取られるとわずかな表現の違いに対応できない場合があります。そこで木を見るより先に森を見ることが大切です。例えば「ライフプランニングと資金計画」ではＦＰと倫理、関連法規、ライフプランニング、社会保険、公的年金、私的年金、年金と税金と大きく６つの分野に分かれます。

 

まずこの分野の名称を意識しながら社会保険の中には社会保険概要、医療保険、介護保険、労災保険、雇用保険があります。そして各種保険制度では誰が、どんなときに、どのようなサービスが受けられるかと順を追って整理します。ここでいくつかの専門用語に出会うでしょうが、用語の意味に振り回されることなく、分野、制度、仕組み、要件とトップダウンで細分化される流れを意識しながら整理することが大切です。

 

学科対策

 

学科試験のＦＰ３級では○×、３択問題でＦＰ２級では４択問題になり、それぞれ合計で６０問になります。これを試験時間２時間で解くことになりますので、１問当り２分となります。２分という時間は結構長いので落ち着いて設問を読むことが出来ます。

 

ＦＰ３級では初めてＦＰに関る方が受験するので、専門用語の理解が重要になります。ＦＰ３級の○×問題は設問文章の正否が問われるので、□□□は△△△であるのかないのか、主語と述語に注目します。

 

テキストを読む場合も主語と述語を意識して読むことが求められます。また最近の制度改正などに触れた長文の設問は受験者に現状を認識させる狙いから正になる場合が多いと思われます。

 

一方設問に「すべて」｢いかなる場合も｣という表現はほとんどが否になります。世の中の仕組みには原則と例外が混在しますので、内容が分からなくても文章から判断できる場合があります。

 

ＦＰ３級の３択問題は用語と数値の選択になります。空欄にどのような専門用語が入るかが問われるので、専門用語の理解と慣れが必要になります。数値を記憶することは仕組みや制度を理解するのと異なり、覚えてもすぐに忘れやすいものです。そこでＦＰ試験に出る数値は６科目で100 ほどありますが、集中的に試験直前に整理することが良いでしょう。

 

ＦＰ２級の学科は４択問題ですが、専門用語の意味を問うもの、制度の要件を問うもの、計算問題、数値確認問題等多様化しています。設問中の誤り部分がＦＰ３級では述語部分に集中していますが、ＦＰ２級では設問文の途中に散りばめられているので、一語一句を丁寧に指でなぞるように読み込んでいかなければなりません。ＦＰ２級ではテキストの「なお」「ただし」という例外、補足要件が出題されますので、より慎重さが求められます。ＦＰ３級の学科の合格率は70％くらいで実技より優しいといわれていますが、ＦＰ２級では学科の方が実技より難しくなります。

 

実技対策

 

実技試験はケーススタディ問題であり、Ａさんがこのたび退職を迎えるとか、資産運用を始めようとしたとか、土地を購入する場合にＦＰに相談しましたという設定の問題です。

 

ＦＰ３級では問題形式は３択問題ですから学科と違いはありませんが、計算問題が含まれています。実技問題は大きく５問で｢リスク管理｣はありません。「ライフプランニングと資金計画」では計算問題はなく、｢金融資産運用｣では債券利回り、株式指標（ＰＥＲ，ＰＢＲ等）、｢タックスプランニング｣では給与所得や各種所得額、所得控除合計額、損益通算、｢不動産｣では建ぺい率、容積率、譲渡所得の特別控除、｢相続･事業承継｣では課税価格の合計額、基礎控除額、贈与税額、相続時精算課税などです。

 

設例と設問につながりがあるので、アウトラインを理解する点が学科と異なるところです。計算問題は苦手といわれる方がいますが、例年同様の問題が出題されていますので、過去問に目を通せば確実に得点できるところです。

 

ＦＰ２級の実技では基本的にＦＰ３級と出題形式は同じですが、穴埋め問題では解答を語句群から選択する、設問の正否を尋ね誤っているものは正しく修正する問題がありますが、このような問題は概ね数値を答えることになります。

 

時々特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分額や類似業種比準価額による株価に関する問題では、計算式が複雑で直接各種値を求めるのではなく、設問にある程度計算式が表示されていくつかを穴埋めするような問題がありますが、題意に沿っていけば答えられるでしょう。

 

ＦＰ２級はＦＰ３級に比べ設問文が長く、より基本が問われることになります。ＦＰ２級を受検された方が今までもやもやしていたところがＦＰ２級受検を通じてすっきりしたと話していました。また同時に改めてＦＰの底の深さを感じたと言っていました。

 

効率的な勉強法

 

ＦＰ受験に向けて初めての勉強は知らないことの連続になります。問題を見ても何を言っているか分からないし、テキストを読んでもそのうちに眠くなってしまうことがあります。

 

頭に入らないときはテキストを閉じてさっさと寝ましょう。時を変えて改めて読み返せばすんなり頭に入ることがあります。

 

テキストも問題も初めの一読は苦しみが伴います。それが２度目となりますと、今まで分からなかったことが分かることがたくさんあります。

３度目になりますと各科目のつながりや出題者の意図が見えてきます。

ＦＰ知識は私たちの生活に関連することばかりです。誰でもこれまで多少関わったことがあるでしょう。知識を身につけるには文字を追うだけでなく、自分の年金はいくらになるか社会保険事務所に尋ねるとか、現在加入している保険について保険会社に尋ねるとか、手足さらに５感を使うと理解しやすくなります。

 

仕事や家事で忙しい中新しい知識を身につけるために、効率的に時間を使わなければなりません。ＦＰの勉強をするのにサブノートを作る方がいますが、テキストを丸写しになるようでは時間ばかりかかり、作ったという自己満足で終わるかもしれませんのでお勧めしません。

 

アウトラインや関連をまとめるくらいに留めましょう。細かくまとめると時間ばかりかかってしまうので、その時間はテキスト、問題を読んだりする時間に充てましょう。一度読んだだけで頭に入れようと思うのではなく何度も繰り返すことの方が効果的でしょう。

 

長野日報土曜コラム平成21年7月25日掲載

有限会社テヅカプラニング　手塚英雄

 

 

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