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カードがいっぱい

 

スーパーでレジに並ぶとき見るつもりもないが前の人の財布が目に入る。永年使い込んで角が丸くなった財布、高級ブランドの財布、金運を高めようとする金色の財布などつい目が行ってしまう。札以上にレシートが一杯の財布、小銭が一杯で膨れ上がった財布も見かける。

 

レシートや小銭以上に財布のスペースを占めているのがカード類である。以前に比べるとカードサイズが統一され、気を許してしまうと新しいカードが増えている。店舗ごと発行するポイントカードを受取らなければよいのに、発行費用も無く期限もないと言われつい貰ってしまう。連絡先が記載されているから何かの機会に使えるかなと思っても、連絡先ならネットで簡単に調べられる。

 

お金と同様に大切なカードといえば、運転免許証、健康保険証、キャッシュカード、クレジットカードだろう。毎日必ず使うものではないのに、いざ使おうとして使えない苦い経験をすると、財布の中で定位置を占めている。

 

そして新たな財布を求める際はカードが数多く収納できるものを選んでしまう。財布なのかカードケースなのか区別がつかなくなってしまう。

 

クレジットカード

 

ところでクレジットカードを何枚お持ちでしょうか。VISA、MASTERCARD、JCBなどカード右下に印刷されているカードである。「クレジット」の意味には信用、信頼、貸付などの意味がある。

 

クレジットカードを店舗に提示すれば物やサービスが受けられ、後で銀行口座から代金が引き落とされる。クレジットカードは本人の信用度を証明しているカードである。

 

本人の信用度を示すことからカードごと利用限度が定められていて、一般カードでは3万から50万円、利用実績によっては100万円程度になることがある。ゴールドカードでは利用限度が300万円となり、カードによってその人の信用度が確認できる。

 

利用した金額がきちんと引き落とされていれば本人の信用度は維持されるか更に向上する。しかし引落しができなくなれば本人とカード会社の信頼に傷がつく。

 

誰にでもついうっかりはあるものだから引落し残高がないと分かったら、すぐにカード会社に連絡するのが良い。入金できる日や方法を伝えるとか次回に一括で引き落とすかの打ち合わせをすることになる。

 

引落しができないことを放っておくと、カード会社との信頼関係は崩れ、やがてカードの利用ができなくなる。引落しが一度できなかったくらいではカードの利用が止まることはない。カード利用が出来ない人は不払いの常習者と思われる。

 

カードの効用

 

カードの効用は何と言ってもお金を持たずにサービスや物を取得できることである。おつりの小銭で財布が一杯になることはない。さらに精算時に支払がスムーズであり、混んでいるレジでもスムーズに精算できることは後ろに並ぶ人にも迷惑をかけない。

 

実はカード利用の目的はポイントが貯まることかもしれない。現金支払では支払ったお金が少なくなるだけだが、カードの場合支払った場合金額に応じてポイントが貯まる。そのポイントの還元率は1%くらいである。

 

現在銀行の預金金利が0.01%であるから1%の還元率は100倍の効果がある。ポイントは現金として利用できるので現金支払よりカード支払を選択したほうが賢い。

 

買い物に行く際大金を財布の中に入れるのは、かさばるだけでなく引ったくりの危険が高まる。その点カードでは必要に応じて購入金額を決め、利用限度が一般でも50万円であるので急な出費に対応しやすい。

 

さらに後日利用明細が送られてくるので支出管理もできる。支払いの全てを口座振替とカード支払にできたら送られてくる明細と預金通帳だけで家計簿管理ができてしまう。

 

カードの利用期間1月分の請求は翌月中旬に銀行口座から引き落とされる。利用日から一ヶ月以上経ってから決済される。一般に支払が遅くなれば遅くなった分日割りで金利が追加されることがあるが、カード決済においてはないので、その分お得といえる。

 

カード機能

 

ここまでの話では現金の代わりにクレジットカードを利用したほうが何かと便利でお得のように思える。カードの決済方法は一括払に限らない。一括払では金利は発生しないが、分割払いやリボルビング払いでは金利が発生する。

 

分割回数3回では実質年率12%の金利が発生し、分割回数が多くなるにつれ金利は高くなる。リボルビング払いとは元金と金利を合わせて毎回決められた金額を支払う方法である。途中で買い増しをしても毎回支払う金額は変わらないが、支払回数がその分増えていく。リボルビング払いの金利は実質年率15%くらいである。

 

カード利用の決済方法は分割払い、リボルビング払いを利用せず一括払のみと決め付けたほうが良い。便利の隣に恐ろしい機能が付随している。

 

さらにクレジットカードにはキャッシング機能が備わっている。キャッシング機能とはクレジットカードでATMから現金を引き出すことができる機能である。引き出せる金額は予め設定した利用枠で決められているが、金利は15~18%である。

 

カードにおける買い物の支払いは一括払では金利は発生しないが、キャッシングでは1回の利用から金利が発生する。これも使用しない方が良い機能の一つである。

 

クレジットカードを保有すると年会費が発生する。現在年会費無料のカードも発行されている。年会費が発生するカード会社ではポイント還元率の高さや保険等の附帯サービスをセールスポイントにすることがある。その際たるものがゴールドカードかもしれない。

 

クレジットカードの利便性から選択するなら年会費無料のカードが望まれる。またクレジットカードにETCカードがセットされている場合はETCカードも年会費無料が望ましい。

 

カード使用者は人

 

現金払いでは財布から現金がなくなるのを目の当たりにする。先ほどまでは万札があったが使ってしまえば千円札が数枚残っているだけである。寂しさと共に先のことを考えると不安感が生じる。あれも欲しいこれも欲しいという欲求を不安感が抑制する。

 

必要なものしか購入せず欲求に左右されない機械的判断が常に出来れば現金よりクレジットカードで買い物をしたほうが有効である。便利でかつポイントが貯まる分お得である。

 

しかし人は欲求に左右されやすい動物であり、お金を消費することに抑制がかからなければ止めどなく欲求に従い消費する。クレジットカードでは欲求の実現と消費に伴う痛みが分離されるので、つい使い過ぎる。

 

一括払に留まらず分割払い、リボルビング払いと痛みを後回しにすればするほど金利という激痛がやってくる。激痛に耐え切れず痛みを放り出せば多重債務、自己破産という外れた道に迷い込む。

 

物やサービスを先に受け取り後で決済をすれば、決済までの期間の金利負担がない分有利である。経済的にはその通りでも人は先にお金を払って後で物やサービスを受けるほうが幸福感は高まる。

 

コンサートのチケットは抽選に当たればすぐにお金を振り込まなければならない。コンサートが近づくと座席番号が記載されたチケットが送られる。お金を払ってからコンサート当日までずっとワクワクしていられる。

 

年末ジャンボ宝くじもお金を払ってから発表まで期間が空いている。その間黄色の袋に入れたり運気の高まる方向にしまったり拝んだり、当たらなくとも喜びを感じている。

 

人の行動は決して合理的ではない。目の前のポジティブを好みネガティブを嫌う傾向がある。欲求だけに身を委ねれば後で痛い仕打ちを受けることが多い。

 

 

 

長野日報土曜コラム 平成30年3月24日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

139 クレジットカード

 

 

 

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